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2007年03月18日

3月第3週(その2)

今週の週末エントリは二本立てになっています。まだご覧になっていない方はその1からご覧下さい。

 さて、今回はこのコメントの前半部分に付いての説明からしていきます。「トレンドは常に短期から長期へと伝搬していきます」というコメントは「当たり前じゃないか?」と思う人も多いと思うのですが、その本質的な意味はあまり理解されていないように思います。
 トレンド決定を意識させるファクターはいくつかあるのですが、その代表的なものに「保ち合い放れ」があります。ある相場がトレンドを決定するためには(保ち合いを経た上での)窓空けが重要な切っ掛けとなります。この時、その窓空けは「より短期の」トレンドから「より長期の」トレンドへと伝搬していきます。つまり「より短期の」チャートにおいて保ち合い放れからトレンド決定のシグナルが出たときは、その次に「より長期の」トレンド決定を意識する必要があります。もちろんこれが同時に起こることもあるのですが、多くの場合その前に「より短期の」トレンド決定が確認されます。
 これは逆も真です。つまり「より短期の」トレンド転換なしに「より長期の」トレンド決定を示すような線(例えばザラバ足での上値抵抗ライン突破など)が出た時は、その保ち合い上抜け(上放れではありません)はダマシとなることは少なくありません。もしダマシでなくその後のトレンド決定に繋がる動きであったとしても、抜けた水準を確認する動きは必ず観測され、これを下回らず反発となったときに初めてトレンドが決定されることとなります。
 2月28日の日足は下放れて寄っています。これは日足ベースでのトレンド転換を決定させる寄り付きにも見えますが、この線の寄り付きだけではトレンド決定の寄りか前日の陰線を受けての下寄り(から窓埋めに動く)かどうかは断言出来ません。しかし2月27日後場に半日足窓が空いています。この窓はhMAの収束後に下放れたものであり「より短期の」トレンド決定の動きと考えられます。このことから2月28日の寄り付きは「より長期の」下落トレンド決定の窓空けと考えられることとなります。

それでは今週の30分足を見てみましょう。

2007Y03M17D-30M-2

 アイランドリバーサルトップから下放れて陰線となった水曜日の値幅(a-a'ボックス)で3日間の保ち合いとなっています。a,a'のどちらかを放れれば「より長期の」日足共々トレンド決定の動きとなるでしょう。
 もう少し短期のトレンドを見てみましょう。金曜後場小窓(赤星3)を空けているため、ここで「より短期の」トレンド決定があった可能性があり(現時点では)b線が下値サポートとして意識されます。b線をサポートとした場合、a-b上方三角保ち合いもしくはa-c三角保ち合いという二つの保ち合いが考えられます。また移動平均線の足並みが乱れており、次にこれをまとめる動きも意識されます。さらに窓は株価を吸引するという原則から赤星1〜3水準での時間調整も考えるべきでしょう。金曜引け時点でのMACDがピークアウトからイーブンレベルで引けていることも忘れてはいけません。

 以上の事柄から導き出される短期的なシナリオはこの3つです。
月曜寄付きでb線を下回ったときは、a'線上で一時反発する可能性もあるものの、MACDの陰転から下げ幅を広げる形で下抜けとなる可能性が高い。
b線を上回る寄り付きとなったときはhMAを収束する動きから赤星2水準での期間調整を行う可能性が高い。その後b-c三角保ち合いを煮詰める動きからどちらかに放れ「より短期の」トレンド決定となる可能性が高い。
寄り付きから強く一気にc線を超える動きとなればa線を頭にした上方三角保ち合いから上放れとなる可能性が高い。

 これでその1から通して「より長期の」トレンド確認から「より短期の」シナリオ作成までの一連の作業が終了したことになります。普段はこの一連の作業を感覚でやってしまうので、せいぜい1時間もあれば終わるんですが…いやぁ書くと長いですね。このエントリが皆さんの相場観を磨く一助となれば嬉しく思います。

 さて、今回の予想は週足でのトレンド確認から始まっています。そのため大前提として「今は長期上昇トレンドにおける押し目局面である」という縛りがあります。実は私はこの前提を少なからず疑っています。現在「より短期の」分足から「それより長期の」日足レベルまでのトレンドが転換しています。もちろん「より長期の」週足レベルでのトレンド転換となるかどうかは現時点では断言出来ず、それ故に「疑っている」レベルではあるのですが。
 その疑いにたどり着く鍵は「普通のチャートと異常なチャート」そしてそれを組み立てる経験則として「トレンドラインの堅さ」を用います。が、今日は長くなったのでこの件に関しては次の機会に譲ります。差し迫った転換期でもなく、もし仮にその疑いが現実のものとなるとしてもまだ先の話です。3月第4週は4日立ち会いで、水曜日に休みがあるので、早ければその辺で書ければ良いなぁと思っています。

投稿者 ronjin : 19:42 | コメント (0) | トラックバック

3月第3週(その1)

月曜寄付き 17,312円
高値    17,325円
安値    16,628円
金曜引け値 16,744円

月曜寄付き日足雲下限で始まった一週間でした。結局週足寄り付き天井からアイランドリバーサルトップ(IRT)を形成して下落。雲下限では反発するもIRTの窓を埋める動きにはならず、再び雲下限を試す動きとなりました。
雲下限でのダブルボトムともとれる形となった一週間でしたが、これをもって底入れ・反発となるでしょうか?来週の見通しに行ってみましょう。

3月第4週予想
予想上限 17,150円
予想レンジ 16,600円〜16,950円
予想下限 16,100円

 先日のコメントで「短期を無視した長期のテクニカル分析は意味をなさず、また長期のトレンドを無視した短期テクニカル分析は意味をなしません」ということを書いたので、今日はその辺を踏まえて書いてみます。その前にまず、私がイメージするトレンド(ライン)というものについて書いておきます。イメージを伝えるのは難しいので「何言ってんだ?」と思われる方もおられるかもしれませんが、その時はコメント欄でもメールでもいいので質問して下さい。

 トレンドラインとは風の吹き出し口です。その風はトレンドラインから離れれば離れるほど弱くなるため、その中間地点での株価の動きは「より短期の」トレンドに強く支配されます。しかし通常は「より長期の」トレンドラインは「より短期の」トレンドラインよりも強い風が吹き出しています。そのため「より長期の」トレンドラインは下値支持線や上値抵抗線、押し・戻しの目処として意識される水準となります。
 また経験的に「より短期の」テクニカルシグナルが「より長期の」トレンドをフォローしている時、そのシグナルのダマシの確率は低く、アゲンストの時のダマシの確率は高いと思っています。
 誰にでも見ることができる一つのトレンドラインは一目均衡表の雲です。雲は下値支持線・上値抵抗線として驚くほど正確に機能します。今週の動きはまさにこの動きでしたね。また一目均衡表では雲とともに基準線がトレンドラインとして機能することが知られています。
 もちろん雲や基準線だけがトレンドラインではありません。本当に使えるトレンドラインを見つけることはテクニカル分析の精度を上げる上で欠かせない作業です。というよりもテクニカル分析のキモだと言っても過言ではありません。
 自分の中で確固たるトレンドラインを持っていれば(たとえそのトレンドラインが間違っていたとしても)おそらくその人は、相場から撤退しなければならないほど負けることはないでしょう。もし正しいトレンドラインを自信を持って使えれば、間違いなくその人は相場の勝ち組になります。

 前置きが長くなりましたが、私はこのイメージに基づいてテクニカル分析を行っており、その順番は常に長期の分析から短期の分析へと時間を狭めて考えています。「より長期の」トレンドラインを意識しつつ「より短期の」トレンドを見極める作業ということになります。それでは「より長期の」チャートである週足を見てみましょう。

2007Y03M3W-1

 使用しているトレンドラインは先週のチャートと同じ物です。現時点では変更の必要はありません。週足から読み取れることも先週と同じですね。ただ一つ問題なのは、

その突っ込みが一回で終わることは稀であり、多くの場合は二番底を試す動きになります。その二回目の底が前回の安値を下回らず反発となった時、本格的なトレンド転換と判断されます。

と書いた部分です。まず二番底を試したことは間違いありません。ひとまず二回目の底が前回の安値を下回らなかったようにも見えます。じゃぁ反発したのか?というとまだ反発とは言えません。なぜなら週足ベースで反発を確認するためには17,200円水準を超えてくる必要があるからです。もっとも、それ以前にこのチャートは下げ止まってもいないですね。

現時点でこの週足チャートから読み取れることは、以下の四点です。
長期上昇トレンドの押し目局面であること。
前週の下ヒゲ陽線を包む陰線は最後の抱き線には見えず、強い先安感が漂っていること。
直近は遅行線のD線タッチが予想されること。
その週における突っ込みはD'線水準まであり得ること。

 次に週足チャートに比べれば「より短期の」日足チャートを見てみましょう。

2007Y03M17D

 四角1は先週金曜日から今週火曜日にかけての動きです。雲上限を天井、月曜日足を宵の明星として反落の動きとなっています。翌日下放れて前三日足をアイランドリバーサルトップとしており、四角2程度の底打ち感では反発とは言い切れません。
 スイング取り引きであれば赤星で売り、ザラ場上昇によるIRT窓埋め水準までの売り上がり、雲下限割れで追撃売りとなります。ただし、もし水曜寄り付き水準に窓を空けて上昇した場合、打ち返しの窓となるため売り玉処分からスイングニュートラルスタンスとなります。
 次に楕円で囲んだ部分を見て下さい。遅行線が右下値を切り上げたダブルボトムの形になっており、金曜引け値(黒星)で雲上限を割り込まなかったことから、底打ち反転の可能性がないわけではありません。可能性としては雲の上下限に包まれながら急落時の窓下限までの上昇も考えられます。

 現時点でこの日足チャートから読み取れる短期的なシナリオは、以下の三種類です。
ダブルボトムから大底確認・反発から上値追いかもしれない。
反発からひとまず戻ったとしてもIRT窓上限に押さえられて反落するかもしれない。
アイランドリバーサルトップからの下落であるため雲下限はサポートラインとならないかもしれない。

ということです。これを上の週足チャートでの予想と組み合わせてみると以下のような予想になります。

 週足ベースでの底入れ感には今ひとつであり、日柄においても十分調整したとは言えないことから、直近戻ったとしてもIRT窓上限が上限として意識されます。IRTからの下落は非常に弱く、また週足が前週の下ヒゲ陽線を包む陰線となったため、強い先安感が漂っています。そのため現時点で底値として機能している雲下限も盤石ではなく、週中にはD'線16,100円水準までの下落も想定されます。ただ、その場合も週末にかけて週足遅行線D線ライン16,600円までの戻りとなる可能性が高いと考えられます。

 ザックリ言えばこんな感じでしょうか。上記の分析から導き出される最もシンプルなポジショニングは雲下限〜IRT窓下限をレンジとしたボックス取り引きからレンジブレークに付いていくという方法です。

 次に考えるのは30分足を使った、月曜寄付きから前場にかけての短期的なポジショニングについての考察となります。…が、長くなったので今日はこの辺で。今週の週末エントリは二本立てになります。

投稿者 ronjin : 02:12 | コメント (0) | トラックバック